2017年、新語流行語大賞の年間大賞に「インスタ映え」が選ばれました。インスタグラムに載せることで美しく、きれいに見える写真などをインスタ映えと言い、実際にインスタ映えという言葉は各年代で使われています。しかし、令和の時代に入り、インスタグラムに対する考え方が大きく変わろうとしているのではないかと株式会社AtOffの代表取締役社長、柴垣敏久さんは考えます。柴垣敏久さんはインスタグラムの時代はもう終わり、インスタグラム映えならぬインスタ離れ、そしてSNS離れが始まると予測します。なぜ柴垣敏久さんはそのようなことを考えたのでしょうか。
インスタ映えはもう古い
そもそもインスタ映えという言葉は令和に入ってからあまり聞かれなくなり、死語のような状況になりつつあります。インスタ映えというフレーズが出た時、とにかく見た目に美しく、中身が伴っていなくても表向きが完成していればそれでいいという感じで商品開発が行われてきました。食品でも、色鮮やかな食べ物がインスタ映えとして持てはやされる一方、食欲をかき立てるものではないため、インスタグラムに載せるために注文したのはいいものの、大して食べずに捨ててしまうケースもあり、問題になっていました。
こうした時代を過ぎ、現在のインスタグラムは実用性が求められる時代になってきたそうです。インスタ映えから情報ツールへの変身を遂げており、ユーザーが好みそうな投稿をどんどん表示させるようなシステムにインスタグラムも変わりつつあります。Webマーケティングを事業にしている柴垣敏久さんもこの動きに鋭く反応し、Webマーケティングの常識が毎年変わってきていることを実感しています。
若者のSNS離れ?
そもそもインスタグラムはおろか、SNSからも離れていく若者は多いのではないかという見方もあるようです。正確には10代に関してはSNSの時間が増え、20代になるとSNSから離れていくというものです。10代はまだスマホを手にして日が浅く、色々な人とつながりたい意識がある一方、20代はつながる事そのものに慣れてしまう一方、社会人になるとなかなかつながり続けることが難しく、疎遠になる関係もあるので、自然とSNSから離れる人も出てくるようです。日本で最も使われているSNSはLINEで毎月8000万人以上が利用し、Twitterの4500万人を大きく超えています。若い人に人気のTikTokは1000万人程度しか利用していないのが意外に思えますが、この構図が大きく変わる可能性は低そうです。新成人にどんなSNSを利用しているのかをアンケート調査したところ、LINE、Twitter、インスラグラムは数年前よりかなりの伸びを見せ、LINEは限界ギリギリまで達している一方、Facebookは下がり続けています。実は2013年の段階でLINEもTwitterもFacebookも同じような利用率だったのに、かたや100%ギリギリまで利用率が上がり、かたや20%を割ってしまうなど、大きく異なっていることがわかります。
若者がSNS離れをするという仮説は、利用率の変化を考えると現実味がなさそうですが、これらのSNSをやめても不便に感じない人が増えるのではないかと柴垣敏久さんは考えています。また若者の中でSNSの考え方が違う可能性もあります。
LINEは単なる連絡ツールだと考えている若者が多いというものです。2021年から携帯料金が劇的に安くなるプランがたくさん出始め、多くの人が料金プランの変更を考えています。しかし、それには落とし穴があり、今まで使えていたキャリアメールが全く使えなくなります。これをGmailやヤフーメールに置き換えればいいでしょうが、個人間のやり取りでGmailなどを使うのはあまり現実的ではありません。すると、LINEが連絡ツールとして非常に効果を発揮し、キャリアメールが使えなくなればLINEがその代わりになる可能性が出てきます。
SNS離れといってもLINEは含まれないと考えるべきだと柴垣敏久さんは主張し、Twitterやインスタグラム、Facebookの利用率の変化、距離感の置き方を観察していかなければ、Webマーケティングのやり方を見誤ると警戒しています。
Facebookから読み解くSNS離れの行方
Facebookはここ数年で一気に若者が利用しなくなったSNSです。なぜFacebookはこれだけ人気を失ったのかですが、実名であることが最大の要因ではないかと柴垣敏久さんは考えています。柴垣敏久さんはFacebookを利用しておらず、知り合いがFacebookを利用しており、そこでのグチをよく聞いており、それを参考にしているそうです。実名にすることにより、思っていることが全く言えなくなるのが息苦しくて嫌だと柴垣敏久さんの知り合いは考えているようです。実名が出てしまえば、誰がどのような発言をしているか、その人のオフィシャルな発言として広まってしまいます。もし会社の上司なども知っていたとすれば、Facebookでの発言を理由に会社で不当な扱いを受けてしまうことも考えられるわけです。
若者がFacebookを嫌がるのは、就活の際に面倒な思いをした人が周りにいることも関係しているのかもしれません。柴垣敏久さんがよく取引をする企業の経営者は、採用を行う際、内定を出す予定の学生の名前を検索するよう、採用担当の社員に命じているそうです。すると、少し素行が悪そうであれば、採用面接で好感触だったとしても内定を出すのをやめて、別の人物を採用するのだとか。これを聞いた柴垣敏久さんは、さすがにやりすぎだと注意し、若い時の失敗は正しく矯正すればむしろ成長の糧になるとアドバイスを送ったそうですが、人間はそう簡単に変らないと考えを変えなかったそうです。果たしてどちらが正しいのか、こればかりはわかりませんが、若者が原則実名のFacebookを嫌がるのは理解できます。
SNS離れが起きるのは、実名であることに加え、常に返事をしなければならない、リアクションを起こさなければならないことも原因の1つだと柴垣敏久さんは推測します。昔からメールの返信がないと、無視をしているのかと苦言を呈してくる人がいます。それが面倒なのでずっと返していくと辞め時がわからなくなり、疲弊してしまうことが往々にして出てくるのです。それが嫌でSNSから離れるのだとすれば、SNSと接するのも時期によってアクティブ具合が違ってくると見るべきでしょう。毎日のように触る時期もあれば、一切触らない時期もある、これを踏まえたWebマーケティングを考えていくべきだろうと柴垣敏久さんは仮説を立て、その仮説に基づいたやり方を模索している状況です。
インスタグラムは新たな局面に来ており、今までのインスタ映えはもはや古い時代を迎えつつあります。その状態にもかかわらず、いまだにインスタ映えありきのWebマーケティングをしていれば、間違いなくお金を無駄にするだけで、若い人たちへの訴求力を持たない状態になり、マーケティングを仕事にする柴垣敏久さんにとっては許せない部分です。時代は日々変わろうとしているのです。
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